樂家「茶碗の中の宇宙」展、 すばらしかったです

外を歩くと、まるで冷蔵庫の中にいるようですね。
つい引きこもりがちになってしまいそうですが、ここは一つ‥‥と、気になっていた「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」を観てきました。
岡崎の京都国立近代美術館で、2月12日(日)まで開催中です。
http://raku2016-17.jp/index.html

始まりは千利休からの依頼。初代 長次郎が信長、秀吉の安土桃山時代に、利休好みの茶碗をつくり始めたのは今からおよそ450年前のこと。
それから十五代、次期十六代まで、一子相伝で受け継がれる樂焼きの茶碗。

一子相伝とは「学問や技芸の奥義・秘法を代を継ぐ子、一人だけに伝えること」とあります。
長男だけに技を伝え、若くして没すれば二男に、子どもが女の子なら婿を迎えて継承し‥‥ 樂家でもそうやって、初代 長次郎さんから十五代 吉左衛門さんまで、樂茶碗は代々受け継がれてきました。
次期十六代 篤人さんの器も、現代のエリアに展示されていました。

樂茶碗と聞くと初代 長次郎さんの黒い茶碗や赤樂茶碗の素朴でどっしりとしたイメージが浮かぶのですが、二代、三代、‥‥十四代、十五代と受け継がれる中、時代の影響を受けながら、その景色は変化していきます。
「樂焼きは、長い伝統を有していますが、しかし、それらは伝統という言葉では片付けられない不連続の連続であるといえます」の文言を読みながら、深いなぁ~と納得しました。

黒いの、朱いの、しろっぽいの、模様が入ったの、ぼってりしたの、スッとしたの、中にシジミくらいの貝を模したものを焼き込んだもの、フランスやイタリア、スペインの光を吸収して描き出されたもの‥‥
http://raku2016-17.jp/highlight.html

16人の樂さんたちが、手づくねで造り出した形と色は見応えがあります。

それぞれの特徴を紹介する説明書きの中で、十四代の言葉が残りました。
「伝統とは消して踏襲ではない。己の時代に生き、己の世界を築き上げねばならない」 十四代 覚入

「茶碗の中の宇宙」に、あなたは何を見つけるのでしょう?

*長谷川等伯の描く利休像、本阿弥光悦の茶碗、尾形乾山の茶碗、光悦 × 宗達のコラボ扇など、樂家以外の展示も観られます。

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展示会場内で写真を撮ることは叶いませんが、美術館ロビーにレプリカの展示がされています。初代 長次郎の「万代屋黒(もずやぐろ)」を、手に納め、シャッターを切ると、まるで茶室にお邪魔したような気分も楽しめますよ(^^)


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会期終盤に近づくにつれ、混雑が予測されます。
私が訪れた平日の朝一番はまだ客足が少なめ、昼前に退館する頃には混雑していました。
時間が下がるにつれ、更に混み合うようです。

そうそう、展示作品の素晴らしさとは別に、近代美術館は白く明るい建物も好きです。「美術空間の感度の高さはトイレが象徴する」と思っていますが、シンプルでシャープさのあるここのトイレにも、立ち寄ってください。
3F、4Fからの眺望も「ザ・京都」な雰囲気でステキです。

京都国立近代美術館【岡崎公園内】 月曜休館 9:30~17:00
京都市左京区岡崎円勝寺町 TEL 075-761-4111

今回の展示と合わせて「樂美術館」をご覧になる方は、京都市上京区脂小路通一条下る
TEL 075-414-0304

*2/8の「坂東玉三郎 × 十五代 樂吉左衛門」スペシャル対談はみやこめっせにて 定員330名http://raku2016-17.jp/event.html

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