それは、夏真っ盛りの8月中旬、東急ハンズ京都店の1F入口あたりで1冊の冊子を見つけました。A5サイズ、写真画質を粗くしたモノクローム表紙には、何かを訴えかけてくる機械のようなものが写っていました。

『焙煎家案内貼(京都編・一)』と記されたその冊子は、ホホホ座さんが編集・発行されたもの。もともとWebなる世界より紙媒体を好む習性ゆえ、1,000円払って小冊子は私のもとへ。

冊子は珈琲豆の焙煎をする5人の焙煎士さんを紹介する本でした。

そのうちの一軒が京都 河原町三条の近くにあることと、本の最初に紹介されている焙煎士さんのお店であることから、『六曜社』さんを訪ねることに‥‥

店は河原町通沿い、入口の扉は開いています。六曜社は1Fと地下があり、1Fを仕切るのが、六曜社三代目の奥野薫平さんです。

キムズカシイヒト・ダッタラ、ドウシヨウ‥‥?

と考える必要はありませんでした。

センモンテキナ・コーヒーカラエラブ・ジュンキッサ ミタイナミセダッタラ、ドウシヨウ‥‥?

難しく考える必要もありませんでした。六曜社1Fは、昔から守り続ける味わいのブレンド1種類のみです。

私はコーヒーを語れるほどの味覚を持ち得ません。ゆえに、コーヒー通の同伴者の声を、そのまま掲載します。

「きれいなカップやね」
「いい香りやね、キリマンジャロかな?」
「香りから想像する味と違うね」

私には、薫平さんがいれてくださったコーヒーが、「ようこそ」と温かく歓迎してくださっている味に感じました。

六曜社という空間は、京都の文化や青春をいっぱい吸った空間であることが、気配として伝わってきました。今では経営者や、どこぞの主となった大人たちが、若い頃に粋がって入り浸った店かもしれません。

壁の大きなタイルの模様が一枚ずつちがうように、ソファーの座り心地や、奥に広い店内にも個性が感じられます。
この店は、昭和の中期~後期、平成の京都に暮らす人たちに、自由と空想と語らいを提供しつづけてきた店なのでしょうね。昭和生まれの私には、とても心地よい空間でした。

私の周りにもいる三代目経営者の葛藤を、奥野薫平さんも通過してこられた方なのかもしれません。多くを語りかけず、しかし、ちゃんと意識してくださっている気持ちが伝わってきました。

河原町三条、市バスや京都バスのバス停で降りて、この辺りは何十回と歩いているはずなのに、歴史ある『六曜社』さんの看板をこれまで気付かずにいました。京都を代表する老舗喫茶店のひとつに外せない店だそうです。

「珈琲も調理やと思うので、人が感じられる仕事というか、個を感じられるものがいいですね」と、奥野薫平さんの章に書いてありました。

出逢いの一冊、『焙煎家案内貼』に感謝。  五木のどか

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■六曜社珈琲店 8:00~22:30(L.O. 22:00) 水曜定休
京都市中京区大黒町40-1-1F
http://www.kyoto-kawaramachi.or.jp/shop/rokuyousha/

地下1F 六曜社の営業時間は12:00~L.O.23:00、18:00~BARタイム